残業代バンクは全国からの相談をお受けしていますが、何県(都道府県)からの相談が多いのか?

第1位はおそらく東京都でしょう。これは想像に易いですね。

しかし、次のような疑問も湧いてきます。

  • 第2位は?第3位は?
  • 反対に相談が少ない県は?
  • 相談の多い県と少ない県は何が違うの?
  • 目に見える定量的な原因を特定できないなら、まさか、県民性という定性的な原因なの?

いざ、残業代バンクに蓄積されているデータ(の一部)を紐解き、一緒に調べていきましょう。

このページでお話する内容は残業代請求のノウハウではありません。興味がある人、ネタとして発信したい人だけお読みください。
このページで使用する数字には残業代バンクの実績から独自に集計したものが含まれているため、導き出される数字や見解は必ずしも公平ではないこと十分にご留意ください。

1.全国 相談件数ランキング

都道府県別の相談件数ランキングです。

「サイト閲覧者数」ではなく「相談件数」です。これまで残業代バンクのウェブサイト経由で実際に相談をしてきた方の数とお捉えください。
順位 都道府県 相談件数 割合
1 東京都 332件 19.4%
2 神奈川県 165件 9.7%
3 大阪府 154件 9.0%
4 埼玉県 149件 8.7%
5 愛知県 111件 6.5%
6 福岡県 88件 5.2%
7 千葉県 87件 5.0%
8 兵庫県 78件 4.6%
9 北海道 66件 3.9%
10 宮城県 41件 2.4%
11 広島県 36件 2.1%
12 静岡県 31件 1.8%
13 茨城県 29件 1.7%
14 岐阜県 27件 1.6%
15 長野県 25件 1.5%
16 岡山県 24件 1.4%
17 京都府 22件 1.3%
18 群馬県 18件 1.1%
19 栃木県 17件 1.0%
20 愛媛県 15件 0.9%
21 三重県 14件 0.8%
21 奈良県 14件 0.8%
23 新潟県 12件 0.7%
23 沖縄県 12件 0.7%
25 福島県 11件 0.6%
25 富山県 11件 0.6%
27 滋賀県 10件 0.6%
27 和歌山県 10件 0.6%
27 佐賀県 10件 0.6%
30 大分県 9件 0.5%
31 香川県 8件 0.5%
31 熊本県 8件 0.5%
33 岩手県 7件 0.4%
33 鹿児島県 7件 0.4%
35 山口県 6件 0.4%
35 宮崎県 6件 0.4%
37 山形県 5件 0.3%
37 山梨県 5件 0.3%
37 鳥取県 5件 0.3%
40 青森県 4件 0.2%
40 石川県 4件 0.2%
40 福井県 4件 0.2%
43 高知県 3件 0.2%
43 長崎県 3件 0.2%
45 秋田県 2件 0.1%
45 島根県 2件 0.1%
47 徳島県 1件 0.1%

※割合は小数点第二位を四捨五入

第1位はやはり東京都でした。ぶっちぎりです。

反対に、第47位は徳島県でした。
換言すると、徳島県在住の方とは1回しかお話していないということになります。

徳島県とは?
四国の東部に位置し人口は約75万人。県の木は「やまもも」、県の花は「すだちの花」、県の鳥は「しらさぎ」だが、残業代バンクへの相談者数はわずかに「1」である。

それにしても、思っていた以上に偏りがあることがわかりました。
グラフ化するとよくわかりますが、上位10県が相談全体の約75%を占めています。

残業代請求に関する相談数の割合(都道府県別)

2.相談の多い県と少ない県、違いは従業者数だった!

相談件数ランキングを見る限り、政令指定都市(人口50万人以上の市)を有する県からの相談が多いと言えそうです。

しかし、「相談が多い県は、人口が多い県だった!」では芸がないため、もう少し深掘りします。

働いていない人(子供や専業主婦など)は残業代を請求しません。
ですので、単純な人口ではなく、働いている人の数との関係性を分析した方が適切である気がします。

そこで、従業者数を用いて検討します。

従業者数とは?
国及び地方公共団体の事業所を除く民営事業所に所属しているすべての人の数です。『平成26年経済センサス‐基礎調査結果(総務省統計局)』から引用させていただきました。従業者数の詳しい定義を知りたい方は『平成26年経済センサス-基礎調査 用語の解説』を参照してください。
順位 都道府県 相談件数 従業者数
1 東京都 332件 9,185,292人
2 神奈川県 165件 3,502,634人
3 大阪府 154件 4,487,792人
4 埼玉県 149件 2,577,264人
5 愛知県 111件 3,757,267人
6 福岡県 88件 2,237,808人
7 千葉県 87件 2,103,767人
8 兵庫県 78件 2,215,370人
9 北海道 66件 2,206,038人
10 宮城県 41件 1,010,795人
11 広島県 36件 1,296,824人
12 静岡県 31件 1,739,632人
13 茨城県 29件 1,229,335人
14 岐阜県 27件 883,070人
15 長野県 25件 934,622人
16 岡山県 24件 823,920人
17 京都府 22件 1,153,495人
18 群馬県 18件 898,036人
19 栃木県 17件 871,483人
20 愛媛県 15件 573,320人
21 三重県 14件 806,988人
22 奈良県 14件 442,684人
23 新潟県 12件 1,034,596人
24 沖縄県 12件 543,072人
25 福島県 11件 803,372人
26 富山県 11件 510,210人
27 滋賀県 10件 604,553人
28 和歌山県 10件 378,487人
29 佐賀県 10件 353,609人
30 大分県 9件 487,503人
31 香川県 8件 437,572人
32 熊本県 8件 709,545人
33 岩手県 7件 536,313人
34 鹿児島県 7件 677,846人
35 山口県 6件 586,263人
36 宮崎県 6件 453,108人
37 山形県 5件 480,627人
38 山梨県 5件 366,543人
39 鳥取県 5件 230,465人
40 青森県 4件 508,770人
41 石川県 4件 544,250人
42 福井県 4件 376,204人
43 高知県 3件 284,802人
44 長崎県 3件 559,425人
45 秋田県 2件 418,534人
46 島根県 2件 292,310人
47 徳島県 1件 312,289人

相談件数が多い県ほど従業者数が多く、相談件数が少ない県ほど従業者数が少ないように見えますが、せっかくなので関係性を数値化してみます。
関係性の数値化には相関係数が便利です。

相関とは?
2つ以上の事物が密接にかかわりあっていること。一方が変化すれば他方も変化するような関係。

相関係数とは?
相関の強さを示す数値。数値は「-1」から「1」の間で示され、「1」に近ければ正の相関(一方が上がれば他方も上がるなど)、「-1」に近ければ負の相関(一方が上がれば他方は下がるなど)が強い。エクセル関数のCORRELでも簡単に求めることができる。

「相談件数」と「従業者数」の相関係数を求めてみると「0.97」でした。

一般的には0.7以上はかなり強い相関があると評価できるため、「相談件数」と「従業者数」の間にはかなり強い相関があると言えます。

つまり、「相談が多い県は、従業者数が多い県だ!」となります。

なお、いくつかの仮説検証をしてこその分析ですし、県民性すら分析していませんが(そもそも分析しようがない?)、0.97という数値が出てしまった以上、これ以上の主たる要因は出現しないのではないかと思います。

3.物足りないので弁護士事務所数も分析してみる!

弁護士事務所にも出店(開業)戦略が必要です。
開業エリアが選べないなど様々な事情もあるかもしれませんが、少なくとも広告戦略(広告をどこに投下するかの分析)くらいは必須です。

そのような観点から、残業代請求において集客しやすいエリアを分析してみます。

なお、言うに及びませんが、弁護士の業務は残業代請求だけではありません。あくまで残業代請求というひとつのジャンルでの分析です。

さて、前項で「相談件数」と「従業者数」には強い相関があることがわかりました。

つまり、「従業者数(見込み客)」が多いエリア、且つ、「弁護士事務所数(競合)」が比較的に少ないエリアで開業(広告投下)すれば、集客がしやすいと言えます。

この集客しやすさを、「1事務所当たりの従業者数(従業者数÷弁護士事務所数)」として数値化します。

今回は、エリア=都道府県とします。
「弁護士事務所数」と「弁護士数」のどちらを指標とするかですが、ネット上での集客は事務所単位であるため、今回は「弁護士事務所数」を用います。

弁護士事務所数とは?
日本弁護士連合会』の『基礎的な統計情報(2014年)』から引用させていただきました。
相談件数順位 都道府県 従業者数 弁護士事務所数 1事務所当たりの従業者数
1 東京都 9,185,292人 5,629 1,632人
2 神奈川県 3,502,634人 704 4,975人
3 大阪府 4,487,792人 1,748 2,567人
4 埼玉県 2,577,264人 373 6,910人
5 愛知県 3,757,267人 852 4,410人
6 福岡県 2,237,808人 517 4,328人
7 千葉県 2,103,767人 327 6,434人
8 兵庫県 2,215,370人 404 5,484人
9 北海道 2,206,038人 484 4,558人
10 宮城県 1,010,795人 234 4,320人
11 広島県 1,296,824人 283 4,582人
12 静岡県 1,739,632人 229 7,597人
13 茨城県 1,229,335人 149 8,251人
14 岐阜県 883,070人 114 7,746人
15 長野県 934,622人 160 5,841人
16 岡山県 823,920人 189 4,359人
17 京都府 1,153,495人 321 3,593人
18 群馬県 898,036人 153 5,870人
19 栃木県 871,483人 132 6,602人
20 愛媛県 573,320人 110 5,212人
21 三重県 806,988人 90 8,967人
22 奈良県 442,684人 80 5,534人
23 新潟県 1,034,596人 150 6,897人
24 沖縄県 543,072人 154 3,526人
25 福島県 803,372人 110 7,303人
26 富山県 510,210人 72 7,086人
27 滋賀県 604,553人 77 7,851人
28 和歌山県 378,487人 77 4,915人
29 佐賀県 353,609人 58 6,097人
30 大分県 487,503人 82 5,945人
31 香川県 437,572人 98 4,465人
32 熊本県 709,545人 139 5,105人
33 岩手県 536,313人 67 8,005人
34 鹿児島県 677,846人 105 6,456人
35 山口県 586,263人 99 5,922人
36 宮崎県 453,108人 76 5,962人
37 山形県 480,627人 66 7,282人
38 山梨県 366,543人 52 7,049人
39 鳥取県 230,465人 35 6,585人
40 青森県 508,770人 71 7,166人
41 石川県 544,250人 90 6,047人
42 福井県 376,204人 56 6,718人
43 高知県 284,802人 64 4,450人
44 長崎県 559,425人 95 5,889人
45 秋田県 418,534人 58 7,216人
46 島根県 292,310人 44 6,643人
47 徳島県 312,289人 48 6,506人

※1事務所当たりの従業者数は小数点第一位を四捨五入

では、「1事務所当たりの従業者数」が多い順に並び替え、上位10県と、下位10県を見てみましょう。

順位 都道府県 1事務所当たりの従業者数 相談件数順位
1 三重県 8,967人 21
2 茨城県 8,251人 13
3 岩手県 8,005人 33
4 滋賀県 7,851人 27
5 岐阜県 7,746人 14
6 静岡県 7,597人 12
7 福島県 7,303人 25
8 山形県 7,282人 37
9 秋田県 7,216人 45
10 青森県 7,166人 40



順位 都道府県 1事務所当たりの従業者数 相談件数順位
38 香川県 4,465人 31
39 高知県 4,450人 43
40 愛知県 4,410人 5
41 岡山県 4,359人 16
42 福岡県 4,328人 6
43 宮城県 4,320人 10
44 京都府 3,593人 17
45 沖縄県 3,526人 23
46 大阪府 2,567人 3
47 東京都 1,632人 1

さながら、上位10県はブルーオーシャン、下位10県はレッドオーシャンと言えるかもしれません。

着目すべきは「相談件数順位」とのギャップであり、相談件数が多いから、従業者数が多いからなどの安直な理由で開業(広告投下)エリアを選択することは効率的ではなさそうです。

また、依頼する側からすれば、「1事務所当たりの従業者数」が少なりエリアほど、弁護士の選択肢が多いとも捉えられます。

依頼先候補(弁護士事務所など)の比較検討を面倒臭がる方がいますが、比較検討はすべきです。せっかく多くの選択肢があるのですから。

比較や検討が必要な理由は『あなたに最適な残業代の請求方法は?複数の無料相談を使い倒せ!』でもお話しています。
繰り返しですが、あくまで残業代請求という狭いジャンルでの分析結果です。また、実際は県を跨いでの依頼も可能ですから、ひとつの考え方としてお捉えください。