2017/09/09
残業代が支払われる休日は?休日、休暇、休業、代休、振替休日の違い!
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さて、問題です。
「休日出勤時の時給は、基礎時給(月給を時給換算した額)の25%増しになる。○か?×か?」
「ちょっと残業代請求に詳しいからって、私をナメないでいただきたい!それは○に決まってますよ!……だって休日出勤は残業なんですから。」
「正解です!ご認識の通り、休日出勤は多くの場合に残業です。
……ですが、25%増しにならない休日出勤や、35%増しになる休日出勤があることはご存知でしょうか?」
「……くっ。ええ、もちろんご存知ですよ……ご存知ですが一応説明してみてみてもらえますか?」
※このページの重要さを伝えるための演出です。
というわけで、このページでは、「休日の種類」、「種類によって休日出勤した際の割増率が変わること」などをまとめます。
このページの目次
1.「休日」「休暇」「休業」の違い
1-1.休日とは?
休日とは「労働の義務がない日」です。
労働の義務がないということは、「使用者(会社)は労働者に対して業務を指示してはいけない日」、言い換えれば、「労働者が労働から完全に解放されている日」と定義できます。
また、休日には「法定休日」と「所定休日」の2種類があるため、次項で解説します。
よくある「半休」は厳密に言えば休日とはなりません。
1-2.「法定休日」と「所定休日」の違い
休日には「法定休日」と「所定休日」の2種類があります。この法定休日と所定休日の違いは残業代を計算するうえでとても重要なポイントですので、解説します。
法定休日とは?
労働基準法第35条には次のように定められています。
- 使用者は、労働者に対して、毎週少くとも1回の休日を与えなければならない。
- 前項の規定は、4週間を通じ4日以上の休日を与える使用者については適用しない。
労働基準法第35条(休日)
このように、法律で「毎週1日以上の休日を与えなければならない」あるいは「4週間を通じて4日以上の休日を与えなければならない」と定められている休日を「法定休日」と言います。法で定められている休日だから、法定休日です。
但し、4週間を通じて4日以上の休日を与えようとする場合は、就業規則に定める必要がありますし、一般的には毎週1日以上の休日を与えなければならないと理解していただければ問題ありません。
なお、仮に、使用者と労働者の間で「少なくとも2週間に1回の休日を与える」というような、労働基準法の定めを下回る、労働者に不利な雇用(労働)契約を締結したとしても、その契約は無効となり、法定休日の基準に置き換えられます。
- 「任意法規」とは、当事者間の合意があれば、その法規(法律)に優先するルールを定めることができるものです。
- 「強行法規」とは、当事者間の合意があっても、その法規に優先するルールを定めることができないものです。厳密に言うと、優先するルールを定めることはできますが、そのルールは無効になります。
所定休日とは?
前記のように、労働基準法第35条には「毎週1日以上の休日を与えなければならない」あるいは「4週間を通じて4日以上の休日を与えなければならない」という最低限の定め(法定休日)があります。
しかし一方で、労働基準法第32条には「1日8時間を超えて労働させてはならない」且つ「1週40時間(※特例措置対象事業場においては44時間)を超えて労働させてはならない」という定め(法定労働時間)があります。
ここでポイントになるのは、この第35条と第32条の両方を遵守するためには会社ごとに調整が必要になるということです。
この会社ごとに調整をした休日が「所定休日」です(会社ごとに調整をした労働時間が「所定労働時間」)。
調整とはどういうことなのか、詳しく解説していきます。
「法定労働時間」と「法定休日」を簡単にまとめると下表の通りです。
法定労働時間(労働基準法第32条) | 1日8時間、且つ、1週40時間を超えて労働させてはならない |
---|---|
法定休日(労働基準法第35条) | 毎週1日以上、あるいは、4週間を通じて4日以上の休日 |
例えば、ある会社が、「法定労働時間」と「法定休日」を別個に捉え、それぞれを愚直に遵守した結果、次のような勤務時間を定めたとします。
勤務時間 | 10:00~19:00(休憩1時間)、つまり、1日の労働時間は8時間 |
休日 | 毎週日曜、つまり、1週の休日は1日 |
1日の労働時間が8時間、1週の休日が1日となっていますから、一見すると法定労働時間も法定休日も遵守していますが、実際は1週40時間を超えているため違法です。
つまり、「法定労働時間」と「法定休日」を別個に捉えず、複合的に捉え、会社ごとに調整しなければならないということです。
「「会社ごとに調整しなければならない」と言うと、労働基準法に穴があるかのように聞こえるかもしれませんが、そうではありません。会社ごとに、業種や職種、業務内容によって効率的な労働を推進できるよう、柔軟に対応できるよう、幅を持たせていると捉えてください」
一般的には次のような調整が多く、繰り返しとなりますが、このように調整された休日を「所定休日」と言います(調整された労働時間を「所定労働時間」と言います)。
勤務時間 | 10:00~19:00(休憩1時間)、つまり、1日の労働時間は8時間 |
休日 | 毎週土曜日曜、つまり、1週の休日は2日 ※休日2日の内、1日は法定休日、1日は所定休日。 |
勤務時間 | 月~金曜10:00~18:00(休憩1時間)、つまり、1日の労働時間は7時間 土曜8:00~14:00(休憩1時間)、つまり、1日の労働時間は5時間 ※法定労働時間(8時間)以下の時間数によって定められている労働時間を所定労働時間。 |
休日 | 毎週日曜、つまり、1週の休日は1日 |
法定休日に休日労働を命じられた場合は、割増賃金(基礎時給の135%)を請求できます。
所定休日に休日労働を命じられた場合は、次の例外を除き、通常の1時間当たりの基礎時給(0%割増)を請求できます。
- 所定休日出勤した日の、1日の労働時間が8時間を超えた場合、その超えた労働時間(基礎時給の125%)
- 所定休日出勤した日が含まれる週の総労働時間が40時間(※特例措置対象事業場においては44時間)を超えてた場合、その超えた労働時間(基礎時給の125%)
- 深夜労働(午後10時から午前5時)に該当する労働時間(125%)
なお、参考までにですが、「法定休日は日曜、所定休日は土曜」のように法定休日と所定休日の曜日まで特定している使用者(会社)はまずありません。
曜日を特定してしまうと、「どうせ土日のどちらかに出勤しなければならないなら、25%増しされる土曜よりも、35%増しされる日曜に出勤した方が得だな」と考える労働者がいてもおかしくないからです。
1-3.休暇とは?
休暇とは「労働義務はあるが、その労働が免除された日」です。
労働が免除されたという表現通り、もともとは労働する義務がある日ですので、労働義務のない「休日」とは異なります。
また、休暇にも「法定休暇(法で定められた休暇)」と「法定外休暇(会社ごとに定められた休暇であり、「任意休暇」と呼称されることもあります)」の2種類があります。
なお、法定休暇は労働者から請求があった場合には、原則、使用者はその取得を拒否することができません。
法定休暇
- 年次有給休暇
- 産前産後休暇
- 生理休暇
- 育児休暇
- 介護休暇
- 子の看護休暇
- 時間外労働(残業)に関する代替休暇
法定外休暇(任意休暇)
- 傷病休暇
- 慶弔休暇
- 夏季休暇 など
1-4.休業とは?
休業とは、労働基準法などの法律では明確に定義されていませんが、一般的には「労働の義務はあるが、その労働が労働者、あるいは、使用者の都合によって任意に免除された日」です。
また、「比較的長期に渡る休暇」を休業と呼称するこもあります。
労働者側の都合による休業
- 育児休業
- 介護休業 など
- 使用者側の都合であればが該当します。
また、
使用者側の都合による休業
- 業績不振による自宅待機 など
なお、休業期間中の賃金について、労働基準法第26条には次のように定められています。
使用者の責に帰すべき事由による休業の場合においては、使用者は、休業期間中当該労働者に、その平均賃金の100分の60以上の手当を支払わなければならない。
第26条(休業手当)
2.「代休」「振替休日」の違い
ほとんどの使用者が「代休」と「振替休日」を同じもの(単に呼び方が違うだけ)と誤解していますが、「代休」と「振替休日」は全く異なるものです。
ゆえに、残業代(割増率)の計算方法もまったく異なります。
2-1.代休とは?
法定休日、所定休日に限らず、休日出勤(労働)の代償として、他の労働日を休日と代えて恩恵的に休ませる方法です。
つまり、事後に「本来の休日」と「本来の労働日」を交換する方法ですから、休日出勤をしたという事実を変えることはできません。
よって、当該休日出勤が法定休日であった場合や、(前記の通り)所定休日出勤だが割増賃金が発生した場合には、割増し部分は支払われなければなりません。
例えば、当該休日出勤が法定休日であった場合には割増し部分の35%、所定休日出勤だが割増賃金が発生した場合には割増し部分の25%(など)が支払われなければならないということです。
2-2.振替休日とは?
代休とは反対に、事前に「本来の休日」と「本来の労働日」を交換する方法です。
よって、休日出勤という事実が発生していないため、割増賃金は発生しません(単純な交換です)。
但し、「事前に」と認められるには次の条件を満たしている必要があります。
- 事前に、振り替える(交換する)日を特定しておくこと
- 休日の単位は「日」であること(休日の振替は時間単位では行えない)
また、次の点にも注意して利用してください。
- 振替休日制度を利用することにより、「毎週1日以上」あるいは「4週間を通じて4日以上」の法定休日を取得できなくなかった場合、当該休日労働については割増賃金が支払われなければなりません。
- 振替休日制度を利用することにより、「1週40時間(※特例措置対象事業場においては44時間)」の法定労働時間を超えた場合、超えた労働については割増賃金が支払われなければなりません。
- 「1日8時間」の法定労働時間を超えた場合や、深夜労働をした場合、当然に割増賃金が支払われなければなりません。
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