2017/09/09
あなたもチェック!未払い残業代のよくある悪質な10事例!
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私たち残業代バンクが取り扱ったケースの中でも、非常に多い、悪質なものを紹介します。
残業代を請求できる可能性が極めて高いケースばかりですので、あなたの置かれている状況がこれらに該当しないか?、これらに酷似していないか?、チェックしてみてください。
なお、会社全体に悪しき風土や慣習が根付き、会社全体にこのような違法行為が蔓延しているケースも少なくありません。
このような場合、残念ではありますが、あなたひとりが奮起、反抗しても、冷遇され、あなただけが苦しい状況に追い込まれてしまうかもしれません。
悪しき慣習を根絶できない場合には、近い将来に訪れる請求の時まで、証拠や記録の収集に尽力してください。
このページの目次
- 悪質1.「うちの会社は残業代は出ないから」と偉そうに言っている
- 悪質2.1ヵ月の残業時間上限を勝手に決め、当たり前のような顔をしている
- 悪質3.定時にタイムカードを打刻させ、証拠隠滅をたくらんでいる
- 悪質4.残業を自己申告制にしているが、承認するつもりはない
- 悪質5.残業時間を切り捨て、労働者を不利にしている
- 悪質6.「年俸制だから」と、本当っぽい嘘をついている
- 悪質7.「フレックスタイム制だから」と、横文字で誤魔化している
- 悪質8.「みなし労働時間制だから」と、なんでもかんでも含もうとする
- 悪質9.名ばかりの管理職に仕立て上げ、残業代はカットするくせに権限は与えない
- 悪質10.会社での残業はさせたくないから、持ち帰っての残業を暗に指示してくる
- 悪質11.その他
悪質1.「うちの会社は残業代は出ないから」と偉そうに言っている
違法である可能性が高いです!
採用時に説明されていようが、残業代が支払われない旨の契約書にサインしていようが、残業代は支払われなければなりません。
なぜなら、労働基準法は「強行法規(※注)」だからです。
法律には「任意法規」と「強行法規」の2種類があり、労働基準法は「強行法規」です。
- 「任意法規」とは、当事者間の合意があれば、その法規(法律)に優先するルールを定めることができるものです。
- 「強行法規」とは、当事者間の合意があっても、その法規に優先する(その法規を下回る)ルールを定めることができないものです。厳密に言うと、優先するルールを定めることはできますが、そのルールは無効になります。
つまり、残業代の支払いを定めている労働基準法は「強行法規」であるから、「会社が定めたルールや契約」が「労働基準法で定められているルール」を下回っていれば、そのルールや契約は、原則、無効になるということです。
但し、楽観はしないでください。
楽観的すぎます!
仮に労働基準法に違反しているルールであっても、あなたがそれを承諾したという事実を完全に否定できるわけではありません。
可能性は高くありませんが、それを黙認(暗黙の内に承認すること、知らぬ振りをして見逃すこと)していたと評価されるケースもあります。
「強行法規である労働基準法に違反している = 完全に無効」となるか?、「違法とは言え黙認していた = (ある程度)有効」となるか?は、そのルールや程度、他の要因にもよるため断言はできませんが、有効と評価される可能性(リスク)があるのであれば、それは回避しておくべきです。
労使(労働者と使用者)という関係上、あるいは、入社後早々に、「労働基準法に違反してる契約は結べません!」とは言えないかもしれませんが、「労働基準法に違反している = 完全に無効」とはならないケースもあることは頭に入れておいてください。
悪質2.1ヵ月の残業時間上限を勝手に決め、当たり前のような顔をしている
違法である可能性が高いです!
前記の「悪質1.うちの会社は残業代は出ないから」と同じ性質です。
労働基準法は「強行法規」であり、これを下回るルールや契約は無効だからです。
悪質3.定時にタイムカードを打刻させ、証拠隠滅をたくらんでいる
打刻後に残業をする(させる)ことがわかっているのに、定時にタイムカードを打刻させる会社がありますが、「一旦」の意味がわかりません。
大前提として、使用者には「労働者の労働時間を適切に管理する」責務があります。
なぜなら、労働者の権利を守るための労働基準法には、労働時間、休日、深夜業などについてが定められているからです。
言い換えれば、労働基準法などに基づいて労働者を雇用する使用者には、労働者の労働時間、休日、深夜業などを適正に把握し、適切に管理する責務があることは明らかだからです。
悪質4.残業を自己申告制にしているが、承認するつもりはない
違法である可能性が高いです!
前記の「定時にタイムカードを打刻させる」と同じ性質であり、使用者には「労働者の労働時間を適切に管理する」責務があるからです。
それにもかかわらず、残業の自己申告制度を不適切に運用(悪用)し、残業代の支払いを違法に免れようとする使用者が多いことから、厚生労働省による「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関する基準」というガイドラインが明示されているくらいです。
悪質5.残業時間を切り捨て、労働者を不利にしている
違法である可能性が高いです!
残業時間の「1日単位での切り捨て」は、一切、認められていません。
よって、30分単位であろうが、15分単位であろうが、「1日単位での切り捨て」はすべて違法です。
但し、「1ヵ月単位での、30分未満の切り捨て、30分以上の切り上げ」は認められています。
なぜなら、残業時間(残業代)をきちんと計算しようとすれば、かなり煩雑な事務処理が必要であるからです。
煩雑な事務処理の簡略化を目的として、このような特例が設けられているわけです。
悪質6.「年俸制だから」と、本当っぽい嘘をついている
※野球選手は労働者ではないためまったく別の話です
違法である可能性が高いです!
年俸制であっても、残業代は支払われなければなりません。
これまでに解説してきた通り、労働基準法は「強行法規」であり、これを下回るルールや契約は無効だからです。
「年俸制は残業代を支払わなくてもよい」などという法律や通達はどこにも存在しません。
悪質7.「フレックスタイム制だから」と、横文字で誤魔化している
違法である可能性が高いです!
労働基準法では法定労働時間(労働時間の上限: 原則「1日8時間、1週40時間」)が定められていますが、会社の業種や、労働者の業務内容、雇用形態によっては、この画一的な原則を遵守しようとするばかりに、労働が非効率になってしまう場合があります。
そこで、効率的な労働を促進するために、いわば「画一的ではない労働時間制度」も定められ、使用者が自分の会社に馴染む労働時間制度を採用し、不要な労働(残業)を削減できるよう配慮されています。
その「画一的ではない制度」のひとつが、この「フレックスタイム制」です。
しかし、制度の趣旨や成り立ち、運用方法を十分に理解しないまま、会社にとって都合の良い部分だけを抽出し、あるいは、ごちゃ混ぜにして労働者(あなた)に押し付けている会社も少なくありません。
悪質8.「みなし労働時間制だから」と、なんでもかんでも含もうとする
違法である可能性が高いです!
『そもそもサービス残業ってなに?当たり前だと思ってない?』で解説した通り、昨今では、労働の時間に対して賃金を支払う形態ではなく、労働の成果に対して賃金を支払う形態を取りたがっている会社が増えています。
この考え方は真っ当ですし、賛同する部分は大いにあります。
そのような会社が採用していることが多い制度が、この「みなし労働時間制」です。
みなし労働時間制にはいくつかの種類がありますが、基本的には、予め「労働時間数」を定めておくことによって、その労働時間数、労働したものとみなす制度です。
前記の上司の発言も半分は正しいと言えますが、例えば「(1日の法定労働時間は8時間と定められているにもかかわらず)毎日の労働時間数は10時間とみなす」というような平等性に欠ける定めは違法です。
このように、会社にとって都合の良い部分だけを抽出して、労働者(あなた)に押し付けている会社も少なくありません。
悪質9.名ばかりの管理職に仕立て上げ、残業代はカットするくせに権限は与えない
違法である可能性が高いです!
確かに、労働基準法第41条には次のように定められています。
労働時間、休憩及び休日に関する規定は、次の各号の一に該当する労働者については適用しない。
- 事業の種類にかかわらず監督若しくは管理の地位にある者又は機密の事務を取り扱う者
労働基準法第41条(労働時間等に関する規定の適用除外)抜粋
この「監督若しくは管理の地位にある者」は、「管理監督者」と呼称されます。
そして、「管理監督者」は、労働者ではなく使用者として扱われることから労働基準法の保護を受けず、「残業」や「休日出勤」の概念がありません。
※実際は管理監督者も労働者です。ニュアンスとして使用者寄りとして捉えてください。
また、「年次有給休暇」も一般的な労働者と同様に付与されなければなりません
しかし一方で、重要なポイントは、会社組織上の「管理職(管理者)」が、必ずしも、労働基準法上の「管理監督者」に該当するとは限らないということです。
むしろ、該当しないケースが非常に多いです。
つまり、ここまでのケース同様に、会社にとって都合の良い解釈(会社組織上の「管理職」に仕立て上げれば残業代を支払わなくて済むという解釈)をし、労働者(あなた)に押し付けている会社が非常に多いということです。
悪質10.会社での残業はさせたくないから、持ち帰っての残業を暗に指示してくる
違法である可能性が高いです!
建前上、残業を発生させたくないために、会社では残業させず、自宅などで残業を暗に(遠回しな言い方で、それとなく)指示する会社がありますが、この自宅などでの業務時間も、基本的には、残業代が支払われなければなりません。
「基本的には」と表現したことには理由があります。
労働時間の定義は「労働者の行為が何らかの形で使用者の指揮命令下に置かれているものと評価される時間」です。
よって、自宅などでの業務時間が労働(残業)時間に該当するかは、その時間が「使用者の指揮命令下に置かれていたと評価できるか?」、それとも、「労働からの解放が保障され、労働者が自由に利用できたと評価できるか?」という観点から判断されます。
具体的には、次のような状況であったことを立証できれば、使用者の指揮命令下に置かれていた、つまり、労働(残業)時間に該当すると言えます。
- 上司の指示による自宅業務であった。
- 上司の許可を得たうえでの自宅業務であった。
- どうしても自宅業務しなければならない理由があった。
- 言い換えれば、自己判断による自宅業務は労働(残業)時間に該当しません。
悪質11.その他
このページで例示したケースに該当しなくとも、残業代を請求できるものは多々あります。
「これって違法じゃないの?」「どうも会社に上手く言いくるめられている気がする」などのように感じている方は、専門家の無料相談を利用することをお奨めします。
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