2017/09/09
そもそもサービス残業ってなに?当たり前だと思ってない?
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このページの目次
1.サービス残業とは?
残業代請求を検討されている方なら必ず知っている「労働基準法」という法律があります。これは、労働に関する規制などを定めたもので「労働組合法」「労働関係調整法」と並んで労働三法と呼ばれています。
労働基準法は強行法規であり、これを守らない使用者(会社)は罰則に処せられることもあり、使用者に対して厳しい内容になっています。
なぜなら、労働基準法は、労働者、つまり、あなたの保護を目的に制定された法律だからです。
さて、その労働基準法の第32条には次のように定められています。
- 使用者は、労働者に、休憩時間を除き1週間について40時間(※特例措置対象事業場においては44時間)を超えて、労働させてはならない。
- 使用者は、1週間の各日については、労働者に、休憩時間を除き1日について8時間を超えて、労働させてはならない。
労働基準法第32条(労働時間)
つまり、大筋で言ってしまえば、労働基準法で定められている労働時間は「1日8時間以内」「1週間40時間以内」であり、この労働時間を超えた分はいわゆる残業ということになります。
そして、この定めを超えて労働しているにも係らず残業代を受け取っていない残業を、(労働者が使用者にサービスで残業を提供していることから)サービス残業と呼称しているのです。
商業(卸・小売業)、理・美容業、倉庫業、映画・演劇業、病院、診療所等の保健衛生業、社会福祉施設、接客・娯楽業、飲食店など。
特例措置対象事業場については『週44時間の特例措置対象事業場は残業代41万円以上の損!』にて詳しく解説しています。
2.なぜサービス残業はなくならないのか?
近年こそ労働基準監督署による是正勧告などが急増していますが、このサービス残業が表面化してきた背景には不景気による大規模なリストラがあります。
大規模なリストラを行った結果、総業務量に見合った適切な数の労働者を確保できていない会社では、社員1人当たりに課される業務量が増加し、過労死などの労働問題が発生し始めたことからサービス残業が問題視されるようになりました。
また、リストラされた社員が、正当な権利を行使すべく未払い残業代の請求をし始めたこともこの表面化の理由のひとつです。
もしかすると、未払い残業代問題はあなたにとって縁遠いものだったかもしれません。
しかし、ご存知のとおり、大手自動車メーカー、大手ファーストフード店、大手老人ホーム、あらゆる業界でこのサービス残業問題が取り沙汰されています。
また、2003年に老人ホーム経営者が労働基準法違反により逮捕されたことを皮切りに、会社経営者や経営幹部の書類送検も多く報道されるようになっています。
では、一体なぜ、サービス残業がなくならないのでしょうか?
サービス残業がなくならない理由1.経営者や担当者に法律の知識がない
経営者(使用者)の方とお話をしていると、労働基準法を間違って解釈していることが非常に多いです。
中には、意図的に自分の都合の良いように解釈している方もいらっしゃいますが。
いずれにしても、知らなかったでは済まされないのが法律です。サービス残業は違法行為であり、事件なのです。
サービス残業がなくならない理由2.コストカットと残業代未払いを意図的に混同している
経営者や経営陣が、残業代未払いは違法行為であるとはわかっているにも関わらず、「残業代=無駄なコスト」「残業代を払っていたら他社に勝てない」などと身勝手な見解を振りかざしているケースがあります。
これは業績が芳しくない会社だけでなく、きちんと利益を出している会社にあっても多く見られますが、当然、このような勝手な見解は許されません。
サービス残業がなくならない理由3.「みんなやってるから」と何となく支払わない
「他の社長もやってるし」「十分な給料を払ってるし」「社員もこの不景気に文句は言ってこないだろう」などと、何となく世間の流れに便乗して残業代を支払わない会社があります。考えようによっては、この理由が最も悪質かもしれません。
しかし、世間(国)の流れは、サービス残業をさせている会社は徹底的に排除する方向に変わっています。何度でも繰り返しますが、サービス残業は違法行為です。諦めずに自分の権利を主張、行使しましょう。
3.未払い残業代問題は対岸の火事ではありません
サービス残業がなくならない理由のひとつとして、経営者や経営陣、担当者に法律の知識がないことを挙げましたが、このような背景から(金額の多寡はあるにしても)あなたの会社にも少なからずの未払い残業代が発生している可能性は極めて高いです。未払い残業代はもはや対岸の火事ではないのです。
例えば、近年では裁量労働制(みなし労働時間制)などの、労働の時間に対して賃金を支払う形態ではなく、労働の成果に対して賃金を支払う形態を取りたがっている会社も多いです。これは考え方としては真っ当ですし、私個人としても考え方自体に異論はありません。
しかしながら、それらの形態(制度)を採用している会社の多くが、制度の趣旨や成り立ち、運用方法を十分に理解しないまま、会社にとって都合の良い部分だけを抽出し、あるいは、ごちゃ混ぜにして労働者(あなた)に押し付けています。
語弊を恐れず言えば、会社の経営者や担当者と同様に法律の知識を持ち合わせていないあなたは、その惨状を知ってか知らずか黙認してしまっているのです。
なお、労働基準法は昭和22年に制定された古い法律であることから、「労働の時間に対して賃金を支払う形態」には馴染んでも、「労働の成果に対して賃金を支払う形態」には馴染んでいない部分があるという問題もあります。
ここで、対岸の火事ではない(あなたの会社にも少なからずの未払い残業代が発生している可能性は極めて高い)という具体例を2つ挙げてみます。
労働基準法などを解釈すると、次のような時間帯は労働時間であると定義されています。
- 指定された制服や作業着への(からの)着替え時間
- 義務付けられた始業前の清掃や終業後の清掃
- 昼休み中の来客当番
よって、上記のような時間帯についても賃金が支払われなければなりません。
「15分未満の残業時間は切り捨てる」などのような独自のルールを定めている会社がありますが、これは認められるものではありません。労働基準法などを解釈すると、1日の残業時間は例え1分であっても切り捨てることは認められていないためです。
よって、仮に1分であっても賃金が支払われなければなりません。
いかがでしょうか?
これでもあなたにとって未払い残業代問題は対岸の火事であると断言できるでしょうか?
ここで挙げた例による残業代は大きな額ではないかもしれませんが、これらのようにあなたが知らず知らずのうちに提供してしまっているサービス残業も存在するのです。
例え、使用者に悪意がないとしても、法律の知識がないことが原因で未払い残業代が発生していることもあるのです。
曲がりなりにも労務を所管する担当者ですら正しい知識を持っていないことがあるのですから、あなたが未払い残業代を見付けることは困難であるかもしれません。
「未払い残業代が発生していることはわかっているがどうしたら良いか分からない」という方は勿論、「もしかすると未払い残業代が発生しているかもしれない」という方にも、1度、専門家の無料相談を利用してみることをお奨めします。
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