私たちにご相談いただく方の中には、労働基準監督署に相談した経験をお持ちの方も多いです。

しかし、根本的な誤解をしているため、ひどく落胆する方、ひどく憤慨する方などもいます。

労基署に相談に行ったけど、「まずは自分で請求してみて」と言われたから専門家に相談することにした……
何だか頼りなさそうだったし、他人事のように話してくるから、わたし頭に来ちゃった!専門家に頼んだ方が賢明でしょ?

このページでは、「労働基準監督署がすぐに動いてくれない理由」や、「労働基準監督署を動かす方法」などを解説します。

1.労働基準監督署に相談(労働基準法違反の申告)に行くとどうなる?

全国どの労働基準監督署(以下、労基署と言います。)でも同様ですが、相談(申告)に行くと、ほとんどの場合、「まずは会社に対して自分で請求してみてください」と言われます。

これが労基署の仕様であり、デフォルトの対応であるということを、まずは理解してください。

2.労働基準監督署はどうしてすぐに動いてくれないの?

労基署の仕事は「労働基準法に違反している使用者(会社)を正すこと」です。
そして、警察と同じで、労働基準法に違反している証拠(疑い)がなければ動け(き)ません。

つまり、次の大前提を満たす(手順を踏む)必要があります。

  1. あなたが未払い残業代を請求
  2. 会社が支払わない
  3. 労働基準法に定められた賃金が支払われない
  4. 労働基準法違反(の疑い)
  5. 労基署が動く

要は、あなたのお膳立てがなければ、労基署は動け(か)ないということです。

……もちろん、理由はこれだけではありません。
そもそも、昨今の残業代請求ブームに起因して、労基署が忙し過ぎることも大きな原因です。

いずれにしても、労基署がすぐに動いてくれない根本的な理由は「労基署の仕事は、労働基準法に違反している使用者を正すことであり、労働者1人1人の残業代を回収することに時間を割けない」からです。

中には、「それは明らかに労働基準法違反ですね!すぐに調査に入りましょう!」と神対応してくれる場合もありますが、これは例外中の例外であり、宝くじが当たったようなものです。
あるいは、あなたの勤務する会社が何度も申告され、何度も是正勧告されていれば、「またですか……」と対応してくれる場合もありますが、これも確率はかなり低いです。
多くの担当者は、彼らの仕様通りに「まずは会社に対して自分で請求してみてください」と返してきます。

3.では、どにように請求を進めていったら良いの?

大別すると、2つの進め方があります。

3-1.自分で請求する

労基署は、会社に対する調査や是正についてはすぐに動いてくれませんが、相談に乗ってくれないわけではありません。
あなたの置かれている状況に違法性はあるか?何が争点となるか?などを見極めてくれますし、大筋の請求方法なども教えてくれます(地域性や担当者の熱意、相談に行くタイミングなどにもよります)。

よって、あなたが独自に(自力で)下記を行えるのであれば、「あなたが未払い残業代を請求」を発端に労基署を動かす、つまり、労基署に調査や是正に乗り出してもらうことも可能です。

労基署を動かすためにあなたが独自に行わなければならないこと

  1. 未払い残業代を計算し、
  2. 請求書(内容証明郵便)を作成し、
  3. 請求書を発送する。

ポイントは、自力で計算や請求書作成ができるかどうか?ですが、これはネットで検索することである程度の知識や雛型を得ることができます。

つまり、計算や書類作成の知識があるか?ではなく、自力で調べる時間を捻出できるか?が判断基準となります。
調べることが苦手(不慣れ、嫌いなど)な方には、そもそも向かないと言えるかもしれません。

あなたの調べる時間を節約するために、内容証明郵便の書き方、送り方のマニュアルを作成しました。
書き方: 自分で作る!残業代の請求書(内容証明郵便)の書き方【例文付き】
送り方: 自分で送る!残業代の請求書(内容証明郵便)の送り方【郵便局版】
ネットで作成・発送Word(ワード)を持っている人限定: ネットで完結!残業代の請求書は電子内容証明で送る【e内容証明版】

労基署を動かせば残業代は回収できるの?

労基署を動かしたからといって、必ずしも未払い残業代を回収できるわけではありません。
残業代請求ブームですから、良くも悪くも労基署に対する免疫が付いている使用者も増え、2011年8月頃以降、労基署が動いても事態が好転しないケースも多いです。

しかし、労基署を動かすことによって未払い残業代を回収できたとすれば、回収額全額が手元に残るというメリットもあります

私ども含め専門家に依頼すれば少なからずの費用がかかるため、あなたが多少の時間を捻出できるのであれば、まずは労基署を動かすことを視野に入れる価値はあるとも言えます。

3-2.専門家に依頼する

私たちにご依頼いただく方のお考えで非常に多いのは、「内容証明郵便作成や間違いのない計算書作成の手間を省く、その後も常に法的アドバイスを受けられるという安心感を得る、その対価として成功報酬で済むなら、どうせ半ば諦めていたお金だし構わないよ」というものですので、このような場合には専門家への依頼を奨めます。